事例紹介:見本市BAUMAにおける侵害製品の差押え
課題
クライアントは、コンクリート型枠などの建設業界向け製品の国際的なメーカーでした。当事務所は、このクライアントのために型枠支承具に関する幅広い特許を取得することに成功していました。「BAUMA」見本市は3年ごとにミュンヘンで開催され、建設機械業界にとって世界的に最も重要な見本市の一つです。数年前にこの見本市が開催されるに先立ち、クライアントの競合他社2社が、クライアントの広範囲にわたる型枠支承具に関する特許を侵害する製品を展示しようとしていることが判明しました。
対応
当事務所の弁理士が直ちにBAUMAの見本市の現場に赴き、競合他社2社の展示ブースを視察し、情報資料を収集するとともに、侵害製品の写真を撮影しました。その後速やかに、当事務所の弁護士と共同して仮処分申請の準備をし裁判所に申立てをしました。これらの仮処分命令は、見本市の2日目には発令され、その翌日には廷吏によって相手方に送達され執行されました。見本市で勤務している保管会社の担当者にも執行にあたっての協力を事前に要請していたことから、侵害品の撤去もスムーズに行われました。競合他社の1社では、展示されていた侵害製品が解体を余儀なくされ、その結果展示ブースのスタンドも大幅に縮小された状態となっていました。
成果
この仮処分命令により、侵害製品は1週間に及ぶ見本市から速やかに排除されました。その後、侵害製品を展示していた競合他社はいずれも「不作為義務宣言」(cease-and-desist declaration)に署名し、これによりその後の特許侵害行為についても恒久的に排除することができました。建設機械業界全体が今回の侵害製品の差押ケースに大きな関心を寄せ、3年後に開催された次のBAUMAの前には、多くの競合他社が事前に特許状況を慎重に検討したことを発表しました。それ以来、競合他社がクライアントの型枠支承具に関する特許を侵害する製品を再び出展することはありませんでした。