事例紹介:見本市期間中の侵害行為に対する迅速な仮処分手続
課題
海洋技術の分野で欧州の革新的な企業である当事務所の長年のクライアントは、東南アジアの競合他社による自社製品の模倣品の増加に直面していました。当該東南アジアのメーカーは、EU市場でもこれらの製品の販売を増やしていましたが、その際はヨーロッパでの見本市に短期間だけ出展し、その他は基本的にアジアから直接取引をする形をとっていたため、その侵害行為を適時に特定し対応することは必ずしも容易ではありませんでした。
対応
当事務所は、長年クライアントの特許ポートフォリオを構築してきた弁理士と2名の弁護士の計3名のチームを編成しました。弁護士は1名は特許訴訟を専門とし、もう1名は商標法を専門としており、両名とも特に見本市での仮処分の申請および対応に豊富な経験を有していました。
成果
まず、当該東南アジアのメーカーが模倣品を出展すると見込まれる見本市を事前に特定しました。追って必要となる仮処分の申請とその相手方への送達方法等につき、あらかじめ裁判所と廷吏、翻訳者への注意喚起を行い、徹底した準備を行いました。見本市で成立する可能性のある取引に関連して侵害品が納入されるのを阻止するため、あらかじめ国境措置も取りました。そして当事務所の弁護士が実際に見本市を訪問し、現物をみて侵害品を特定すると、その日のうちに特許侵害と商標侵害に基づく仮処分の申請を裁判所に対して行いました。弁護士が同席していたため、裁判所との連絡も迅速に行われ、その翌日には仮処分命令が発令されました。見本市の運営者の協力も得て、この仮処分命令は発令当日に廷吏と翻訳者によって相手方に送達され、直ちに執行することができました。