事例紹介:ジェネリック医薬品に対する欧州全域における効果的な医薬品特許の権利行使

課題

クライアントは、医薬品を世界的に販売している大手製薬会社です。同社のブロックバスター製品の一つについて物質特許としての保護期限が切れようとしていましたが、製剤特許として同製品の保護期間はさらに数週間残っていました。すでに対応するジェネリック製品について販売許可を取得し準備していた多数のジェネリック医薬品企業の中には、製剤特許の存在を尊重しない企業や、競合他社より優位に立つために製剤特許の保護期限が切れる数日前や数週間前にジェネリック製品の発売を開始してしまう企業があるのではないかと懸念されていました。

対応

製薬分野での特許訴訟や、ジェネリック医薬品の早期市場参入に対して先発医薬品メーカーが行う欧州全域にわたる特許権行使の調整・統括について強みを持つ、特許訴訟・ライセンスチームの経験豊富なドイツ弁護士がチームを率いました。また、訴訟経験の豊富な化学部門のパートナーが弁理士業務を統括しました。必要に応じてアソシエイトが本プロジェクトに参加し、関連業務を担当しました。ドイツ国外での訴訟活動については、ジェネリック医薬品企業に対する医薬品特許権行使に関連する業務経験を有する各国訴訟チームと連携しました。

成果

情報・警告書の準備・送付、競合他社の動向観察、国境措置の申請、法的文書のテンプレート作成など、想定される特許保護期間満了の2年以上前からプロジェクトが開始されました。物質特許の保護期間が満了する直前に最初のジェネリック医薬品の広告が出されると、そこから1日以内に仮処分命令を獲得しました。また、物質特許の保護期間満了に伴い複数のジェネリック医薬品の発売が開始された際には、迅速に当該製品の購入・分析を行い、専門家の意見書を作成することで、仮処分命令を獲得しました。製剤特許の残存保護期間が限られていた状況下ではありましたが、当該製造特許を侵害するジェネリック医薬品を市場から迅速に排除することに成功しました。侵害医薬品は裁判所の廷吏によって押収され、保管されました。ジェネリック医薬品企業は、製剤特許の有効保護期限が満了次第直ちに発売ができるよう、押収された製品を取り戻すための多額の和解金を支払いました。全体では、14の仮処分命令が得られ、クライアントへの多額の支払を条件に含むいくつかの和解も成立しました。